電気代が引き上げられれば、家計に大きな影響が及ぶのは間違いない。しかし、教養娯楽費や交際費を抑制すれば調整できない額とも思えない。

(ただし、以下に述べるように企業の生産コストが上昇するので、それが製品価格に転嫁されれば、間接的な影響がある)。

 企業の場合、電気代が上昇すれば、原価が上がる。電気はどのような経済活動にも必要なものなので、特定の原料価格が上がった場合に比べれば、製品価格への転嫁はしやすいだろう。しかし、100%転嫁できる保証はない。転嫁が不完全にしか行なえなければ、企業の利益は減少する。

 ただし、昼夜の料金に差をつければ、操業が夜にシフトするので、製品価格への影響は緩和されるだろう。西日本や海外への生産シフトによっても、影響を緩和できるだろう(逆に言えば、こうした措置によって西日本や海外へのシフトが促進されるわけである)。

スマートグリッド、太陽光発電、電気自動車

 いただいたご意見の中には、スマートグリッド(次世代送電網)やスマートメーター(次世代電力計)への移行を促進すべきとの提案があった。これらは、長期的な観点からは確かに重要だ。しかし、残念ながら設置に時間がかかり、今年の夏にはとても間に合わない。「泥縄であっても至急電力利用の抑制が必要」というのが現状だ。

 それに、料金を引き上げなければ、いかにスマートグリッドを実現しても、利用を抑制する圧力は働かない。

 再生可能エネルギーの比率を高めるべしとの提案もあった。とくに、太陽光発電だ。これも長期的には重要なのだが、総量はとても足りない。また、設置に時間がかかる。ガス冷房は設置コストがかなり高い。

 問題の根幹は、「電気は蓄積ができない」という点にある。「電気自動車やハイブリッドカーのバッテリーを使えないか」との提案もあった。スマートグリッドが実現すれば、太陽光発電などと組み合わせることも行なわれるだろう。これらは、長期的な課題として重要なことである。

 今回の事態が電気自動車にどう影響するかは、不明である。仮に電気料金の引き上げが行なわれれば、東日本での利用コストは上昇する。しかし、他方で原油価格も上昇しているから、差引でどうなるかは、分からない。西日本では、(今回の災害とは無関係に)電気自動車やハイブリッドカーの有利性が高まっている。

(ミスプリントの訂正)
本文中にミスプリントがある旨、読者の石田勝さんからご指摘がありました。「したがって、全体としての平均的な値上げ率は、(5/3+1/3)=3.67倍(つまり、267%の引き上げ)と考えてよい。 」を、「したがって、全体としての平均的な値上げ率は、(10/3+1/3)=3.67倍(つまり、267%の引き上げ)と考えてよい。」に訂正します(5を10に訂正)。なお、結論に変更はありません。