著者とケンカしながら本をつくりたい
―― 改めて、こういう著者をよくぞ発掘してきたね。
寺田 ありがとうございます。僕自身、生涯91作で13作の処女作をつくり、すべて重版することができたのは、チャーミングなのにまったく光が当たっていない著者を、一人でも多くの読者へ伝えたい、という強い欲望があったからです。思いよりも欲望に近いですね(笑)。これが編集者としての存在意義につながってきます。
―― 寺田君の本づくりの基本は、著者ありき?
寺田 まさにそうです。「この人を知らしめたい」という気持ちです。もちろん、売れる本をつくりたい。だから、この著者をどういうふうに見せていけば、多くの人に知らしめることができるか、そこを一生懸命考えます。まずは、その人の人間性に私自身がどっぷり惚れ込むのが、先決です。
―― 惚れ込んだ著者と一緒に仕事をする。
寺田 一方で、僕は著者から大いに嫌われてもいいと思っています。どこかもう一人の自分が「著者ととことんケンカしちゃえ!」と毎日叫んでいます(笑)。
この世で最初の読者として、著者が嫌がろうと、その人がもっているいいものをとことん引き出したいんです。もっともっと著者の魅力を出したいので、場合によってはケンカになってもいいや、とぶつかっていきます。
*惚れた相手についての語り口は確かに熱い。次回は具体的な編集秘話を聞きます。
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ダイヤモンド社 書籍編集局 第二編集部 副編集長。
モットーは、技術と精神がトルネード式に絡み合う、
孫の世代まで残る書籍をつくること。
担当書籍に、
『ザ・コピーライティング』 『伝説のコピーライティング実践バイブル』
『起きていることはすべて正しい』『売れ続ける理由』など。
【twitterID】 @yoji_terada