登竜門はハンデ1.4以下の
9000人がひしめく狭き門

 どれだけ大変なのか。まず競争率。広く優秀なゴルファーを集めるために門戸を開けるという意味で「オープン」と名称がつく大会がある。すでに実績を持つシード選手とは別に、出場のための予選を行いアマチュアを含めた多くの選手に出場チャンスを与えるわけだ。メジャー大会の全米オープンもそのひとつで、アメリカで行われる1次予選には9000人を超えるゴルファーがエントリーするといわれる。参加資格はハンデキャップ1.4以下でいずれも高い技術を持つ選手たち。彼らが試合をし、500人あまりが2次予選に進む。2次予選は全米14カ所の他、日本と英国でも行われ、そこで勝ち抜いた者、86人が出場権を得る。

 この予選に挑戦するのは、アマチュアであってもいずれはプロとしてPGAツアーを戦いたいと思っている選手だろう。そんな強者が1万人近くいて、厳しいサバイバルの戦いを経て、やっと出られるのが全米オープンなのだ。

 PGAツアーの出場資格は複雑過ぎて、ここでは説明しきれないが、そのなかに4大メジャー大会の今シーズンと直近5シーズンの優勝者、直近5シーズンの賞金ランク1位、PGAツアー大会の今シーズンと直近2シーズンの優勝者といった選手たちが含まれる。PGAツアーのシード権を与えられる選手は175人だが、すでに輝かしい実績を持つ実力者でその多くが埋まっているわけだ。

 その中に割り込んでいくには、下部のツアーであるウェブ・ドットコムツアーに参戦し、年間獲得賞金を積み上げていく必要がある。その賞金ランク上位25位までがPGAツアーに昇格。そこに入れなかった選手はPGAツアーの賞金ランク下位の選手との入れ替え戦に望みを託す。PGAツアーに出場すること自体、厳しい関門を突破しなければならず、並大抵のことではないのだ。

 なお、松山の場合は、東北福祉大学在学中の2010年、優勝者には翌年のマスターズ・トーナメントの出場権が与えられるアジア・パシフィック・アマチュアゴルフ選手権で優勝。そのマスターズではベストアマチュアに輝く成績を残した。プロ転向後の2013年には全米オープンで10位タイ、全英オープンで6位タイ。そうした実績が評価されPGAツアーに参戦。2014年にツアー初優勝し(メモリアル・トーナメント)、シード権を確保した。数少ないチャンスで実力を示し現在があるのだ。

 PGAツアーのシード権を持つ175人は世界から選り抜かれたトップゴルファーといえる。その中でプレーするだけでもすごいのに、松山は優勝を重ね、日本人には夢のまた夢と思われていたメジャー制覇も手が届くところにきた。

 マスターズは4月9日、全米オープンは6月15日、全英オープンは7月20日、全米プロは8月10日に開幕する。今年ほどゴルフのメジャー大会が楽しみな年はない。

(スポーツライター 相沢光一)