今年は「政治リスク」が注目を集めている。アメリカのトランプ大統領もその対象であるが、なんといっても選挙が多い欧州である。オランダ総選挙、フランス大統領選およびそれに続く総選挙、ドイツ連邦議会選挙、イタリア総選挙(予想)等があるが、英国のEU離脱やトランプの大統領選勝利などがあったため、既存体制が転換し、もしかしたらユーロ脱退そして崩壊を予想する向きもある。

 しかし、このような歴史があるため、今年5月のフランス大統領選で、仮に極右政党のルペンが当選したとしても、ユーロ脱退(崩壊)はありえない。ユーロはフランスのこのような政治的な動きで誕生した。国家的な歴史は非常に重いものであり、右翼だろうが左翼だろうが無視できないと考える。ルペン当選=ユーロ崩壊と議論する向きが多いことは残念である。

 そもそも、ギリシャ危機の時も、ギリシャをユーロから離脱させろと乱暴なことを言う人たちはいた。勉強すればわかるが、ユーロには脱退規定がない。EU条約(リスボン条約)では、通貨同盟への加盟を意図的に不可逆的なものとしてきた歴史があり、ユーロ脱退についての法的な条件や枠組みは設けていない。すなわちユーロから離脱するにはEUを抜けるしかない。現在のギリシャがEUを抜けて生き残っていける可能性は低い。フランスもまたEUから脱退する可能性はゼロと考えられる。このように、経済は歴史なのである。

(経済学博士・エコノミスト 宿輪純一)