自転車事故で損害賠償9500万円!

誰もが死ぬまで必ず入っておくべき保険とは?

 ひとり暮らしをする20代の甥から「最近ロードバイクを買って、自転車乗りにはまっている。自転車保険に入ろうかと思うけど、どれがいい?」と尋ねられた。事故を起こしてしまい、他人にケガなどをさせてしまったときの賠償が心配だという。

 リスク管理として保険に入っておこうと考えたのはとても良い心がけだ(と、きちんと誉めた)。甥が「自転車に乗るなら自転車保険」と考えたのは、損保会社各社が自転車保険を発売するようになり、広告がよく目に付くからなのだろう。

 各社がこぞって扱うようになった背景には、兵庫県が2015年に自転車保険の加入を義務づける条例を設けたことがある。自転車と歩行者の事故では、自転車運転者が加害者になる可能性が高く、数千万円という高額な賠償が求められる場合もあるのだ。

 実際、2013年に神戸地裁が事故当時小学生の運転する自転車が60代の女性に接触し寝たきり状態にさせたとして、小学生の母親に約9500万円の賠償を命じる判決を下したことは記憶に新しい。判決の報道を受け「自転車保険って入っておかなくてはいけない」と考える人が増えた。

自転車専用の保険でなくても
自転車事故を補償する保険がある

 甥には「自転車保険に入るのもいいけど、すでに賠償責任をカバーする保険なら入っているかもよ。部屋を借りるときに契約した火災保険の証券を調べてみたら」とアドバイスした。

 賃貸住まいの人は、自分が火事を出したときに大家さんへの賠償責任を補償する「借家人賠償責任保険」の加入がマストだ。これは「家財の火災保険」に特約で付けるものなので、入居時に不動産会社経由で火災保険に入っているはず。

 その「家財の火災保険」に「個人賠償責任保険特約」が付いていることがある。個人賠償責任保険は、日常生活で起きたトラブルで相手に被害を与えてしまった場合、損害賠償金を補償する保険だ。