免許の必要なく乗れる自転車は、その手軽さから老若男女に親しまれている。身近さゆえに「事故の心配など無用」との“安全神話”につながりやすいが、年間10万件以上の事故が起きており、決して安全な乗り物とはいえない。道路交通法の改正もあり、昨今は自転車保険を取り扱う企業も増えているが、認知度は50%以下(昨年8月下旬時点の共同通信社調査より)とまだまだ低い。では、実際に自転車保険は必要なのだろうか――。その判断に役立ちそうなデータや情報を集めてみた。
自転車事故は毎日約300件発生
2014年の交通事故件数は約57万4000件。そのうち自転車が関わる事故は10万6000件余りで、交通事故全体の18.5%を占める。警察庁がまとめた交通事故発生状況によると、日本国内では、交通事故のおよそ5件に1件が自転車がらみの事故で、毎日300件近くの自転車事故が発生する計算となる。
自転車事故は、(1)対自動車・バイク事故、(2)対歩行者事故、(3)単独事故の3つに大別される。(1)は被害者、(2)は加害者となることがほとんどだが、事故当事者の双方が加害者であり、被害者ともなるような案件も少なくない。そのケースではどちらの度合いが強いかで、いずれかに分類される。
相手別に分類したデータでは、対自動車が全体の85%ほどで圧倒的に多い。次が対バイクで5.6%。以下、対歩行者、自転車同士、自転車単独の順番で、いずれも2%台の比率となっている。ただ、対歩行者は増加傾向にあり、2000年の1.1%が2014年には2.3%となっており、15年間で倍増している。
小学5年男児が加害者に
実際にあった“自転車重大事故”
被害者、加害者、単独事故の3分類のうち、一番イメージしづらいのは、自転車運転者が加害者になるケースだろう。自動車などに比べると、より身近で手軽な乗り物だけに、大事故には至らないという思い込みがあるためだ。
だが、現実は甘くない。前述で紹介したように対歩行者事故の比率が高まるなか、自転車が引き起こす重大事故も少なくないのだ。そこで、実際に起こった自転車事故の事例を2つ紹介しよう。