TOSHIさんは、支援者や家族は「社会で就労する」目標を優先させるかもしれないし、最近も「打開するためにお金の計算をしよう」と押し付ける「余計なお世話の支援者」がいたものの、誰も「引きこもり」が何なのかを知らない、という。

「引きこもり経験をした私も、支援者も専門家も行政も、誰も『何なのか』を知らない状態で、答えを持っていない。もし、“ひきこもりピアサポート”があるとしたら、わからないことをわかっていることが重要で、それは経験しているという事実を持っている人たちによる関係なのだと思う」

「苦しみ」を代わりに
発信する社会的役割も

 また、宇野佑美子さん(28歳)も、同じく参加者の立場から報告。「テキストには答えが載っていないし、運営メンバーも一参加者として、ゼミナールを受けにきた生徒と一緒に話し合って、テキストを解釈しようと試みていた。従来の学校教育に馴染んでしまっていると、物足りなさを感じてしまうかもしれない。ただ、一方的に聞くだけだと、わかったようで覚えてないことも多く、教師と生徒という関係にならなかったのは有意義だった」と感想を話した。

「ピアサポートに回った人たちは、今まさに苦しんでいる当事者たちが言えなくて困っていることを代わりに社会に発信する役割もあることを、ゼミの中で勉強しました。ガチで引きこもっている人は、モヤモヤした感情があっても、それを言葉にできない。発信したところで、親や周囲に“甘えだ”と否定される。それを経験し、理解しやすい人が、『こういうことを言いたかったんだよ』と伝えていく“アドボカシー”(権利擁護)的役割もあるんだと思いました」

 この後、参加者はグループに分かれて、「ピアサポーターが活躍する社会を実現するために、皆さんはどのようなことができそうですか?」ということをテーマに、対話セッションが行われた。

 この「ひきこもりピアサポートゼミナール」は、来年度も開講される。具体的な時期や内容など、お問い合わせは『「ひき桜」in横浜』のブログまで。