TBS系テレビ「爆報!THEフライデー」でも紹介された『身近な人ががんになったときに役立つ知識76』。現役の国立病院の内野三菜子医師が、がんの主治医に聞きにくいようなことや、知っておいたほうがいいことなどを解説した本が話題になっています。
この連載では、その本の中から気になるところを、再編集して紹介していきます。

患者の44.6%の人が
サプリメントなどを利用している

 健康食品、サプリメントなどの代替医療とどう付き合えばいいの?

「代替医療」とは、通常の医療の代わりに用いられる医療のことで、日本補完代替医療学会では、「現代西洋医学領域において、科学的未検証および臨床未応用の医学・医療体系の総称」と定義しています。

 つまり、科学的に立証されていない治療法のことで、ヨガや気功、鍼灸、健康食品からサプリメントなど、治療を目的に行ったり、摂取しているもの全般を指します。

 がんの治療後は、どうしても「がんに効くサプリメント」などに目がいきがちですし、周りの人も勧めて来たりします。

 厚生労働省の研究班が作成した「がんの補完代替医療ガイドブック」のデータによれば代替医療を利用しはじめたきっかけは、「家族や友人からの勧め」が77.7%、「自らの意思で」が23.3%。そして、がん患者の半数がなんらかの代替医療を利用しており、そのほとんどが健康食品やサプリメントです。

 しかし現状では、がんの治療や再発予防に、直接的な効果が証明されたサプリメントは存在していません。効果があるとも、ないともいえないので、患者さんがどうしても望むなら、それを止めるものでもありません。

 でも、使っている薬との相互作用によっては、健康被害が出る可能性もあるので、サプリメントを使う前には必ず担当の医師や薬剤師に相談するようにしてもらいたいと思います。

 また、鍼灸や漢方薬などの東洋医学も、直接、がんの治療に効果があることは証明されていません。

 ただ、東洋医学は、体全体のバランスを整え、自然治癒力を高めるという考え方で、抗がん剤の副作用による倦怠感、食欲不振や便秘などの症状が和らいだと感じる患者さんもいるようです。また、マッサージを受けることでリンパ液の流れがよくなり、むくみが改善されたりすることあるようです。痛みを和らげることについては、鍼灸を試してみて効果があるケースも見られます。