「番頭さん」が歳には勝てずリタイアしたからといって、昨日今日入社してきた人がいきなり穴埋めできるはずがありません。

 そんなときに、よくあるのは取引のある金融関係から人材をスカウトすることです。銀行の元支店長などという肩書を見ると、それだけで信用してしまい、なんでもできそうな錯覚を起こしてしまいます。

 しかし、彼らのような大企業で育った人の場合は、即戦力になるとは考えないほうがよいのです。

 大企業の場合、だいたい55歳までに分かれ道が来ます。本当にマネジメントができる人には、その先の昇進の道が開かれていますが、大多数の人はその他大勢で居場所がなくなっていきます。その他大勢だからこそ、あなたの会社がスカウトできるのです。本当に「いい人材」は銀行が手放しません。

 即戦力で使おうとするあなたのほうが、勝手に買いかぶっているのであって、それだけに銀行から来た人も苦労をすることでしょう。力がないのに期待されるくらいつらいことはありません。やがては自ら身を引いていくことになるのです。