大企業の看板力を
過小評価している候補者が多数!

大企業出身の“優秀な人”は中小企業で必ずしも歓迎されていないようです

 私の非常に嫌いな表現ですが、人材紹介業界には「経歴が汚れている人」という言い方があります。これは要するに、転職回数が多く履歴書に書かれている企業が多い人のことです。その逆が「経歴がきれいな人」で、こちらは転職歴が少ない人。たとえば一流大学を出て新卒で大手企業に入社しそのまま勤務し続けている人は、とても経歴がきれいということになります。

「きれい」「汚れている」という言い方にはそれぞれ好ましい・好ましくないというニュアンスも込められていたわけですが、近年はだいぶ様子が変わってきました。

 かつては超大手企業出身の「経歴がきれいな人」は、人材を欲しがっている中小企業から非常に喜ばれました。しかし最近は「この人、大丈夫ですか?」と警戒した反応を受けます。その理由は、大企業出身者が中小企業やベンチャー企業に転職すると、期待通りの成果をあげられずにつまずいてしまうケースがあるからです。

 大企業には大企業ならではの看板力があります。大企業に勤務している限り、それらは当たり前に存在するものですから、本人はその恩恵に与っていることはなかなか自覚できません。そして中小企業に転職し大企業の看板を失って、以前と同等のパフォーマンスを発揮できない自分に気づいて愕然とするのです。

 最近はこういう事情が知られてきたためか「大企業の看板があるから仕事ができた」と自ら言う候補者もいますが、それでも実際に中小企業へ転職してみると「看板がなくなった途端、こんなにも自分と四つに組んで仕事をしてくれる人がいなくなってしまうとは」とショックを受けてしまうものです。頭ではわかっているつもりでも、大企業の看板力を過小評価している人が大多数なのです。