「人見知りしてしまう」「会話が苦手」といった理由から、社会を離脱する引きこもりの人たちが多い。ブランクが長引いて、社会に自分とつながる人がいなければ、なかなか勇気を持って1歩を踏み出せなくなる。
そんな彼らが社会に出ていくために、最初の関門の1つとして重要になるのが、自己紹介だ。ただ、どんなに自己紹介が苦手な人でも、何度も同じ練習を繰り返すことによって、少しずつ慣れて来るものである。
埼玉県の「かわぐち若者サポートステーション」が、併設する「若者自立支援センター埼玉」と連携して開催している「もう1歩前進講座」の第1回目の様子をのぞかせてもらった。
自己紹介から職場体験まで
若年者の就労支援を行う「育て上げ」ネット
講座を担当しているのは、東京都立川市で引きこもりなどの若年者の就労支援を手がけるNPO法人「育て上げ」ネット。当日は、10人余りの男女が受講していた。
「今日は見学で来られている方も、少しアクティブに見学して頂いて、できそうだったら、挑戦してみてください。できなさそうだったら、また次回にかけて…」
最初に、同センター長で、心理カウンセラーの工藤彰子講師から、そんな説明があった。おっかなびっくり参加していた人も、そう言ってもらえるだけで、少しは気が楽になるかもしれない。
この日、行われたのは、自己紹介の練習。2時間にわたって、自己紹介をひたすら繰り返す。これから先、一緒に仕事していく上で困らない自己紹介を身につけるのが狙いだ。
ちなみに、2回目以降のスケジュールは、「質問に答える」練習、「3分間スピーチ」と進み、4回目は「スーツと革靴などの面接に行く格好をして、3分間スピーチ」の繰り返し。
「繰り返すことで、1回目よりも2回目のほうが、自己紹介は上手になります。2回目よりも3回目のほうが、気分はラクになります」
そう講師は、狙いを説明する。