小売業向けに企業間電子商取引サービスを提供するアジェントリクスが高成長を続けている。南米ブラジルの売上高は対2009年比35%増、欧米事業も同30%増と大きく業績を伸ばした。同社は05年、英テスコやイオン(千葉県/岡田元也社長)が出資したワールドワイド・リテール・エクスチェンジ(WWRE)と、仏カルフール社などが出資したグローバル・ネット・エクスチェンジ(GNX)が合併して誕生。08年にはブラジルのIT企業MAP社の傘下に入っている。アジェントリクスは今何を考え、どこへ向かうのか。次の一手をウェリントン・マシャドCEO(最高経営責任者)に聞いた聞き手/千田直哉(チェーンストアエイジ)
バイヤー業務を軽くする!
ウェリントン・マシャド
Wellington Machado
ブラジルのIT企業での要職を経て、1999年アジェントリクス社関連会社のNeoGrid社(本社ブラジル)に入社。営業本部長、国際事業開発部門責任者などを歴任後、2006年NeoGrid社CEOに就任。10年からAgentrics, LLC(本社 米国シカゴ)のCEO。41歳。
──アジェントリクスの前身であるGNXやWWREは、企業間電子商取引を利用した資材の共同購入で知られていました。現在は、それら事業のほかに、どのような事業展開をしていますか?
マシャド アジェントリクスは2005年に、WWREとGNXが合併してできた企業です。08年にはブラジルのIT企業MAP社が最大株主になりました。私のMAPグループでのキャリアは24年になりますが、その間、MAPグループは順調に成長を続けています。
アジェントリクスはグローバル展開する大手小売業が集まったコンソーシアムとして出発した経緯がありますが、今は当初からは形態が変わってきています。従来は小売業へのサービス提供が主でしたが、今は小売業と取引先であるサプライヤーをつなぐサービス提供者として、サプライチェーン全体に包括的に関与しています。当社はサプライチェーン全体を、商品の流れという観点から4つの領域に分けてサービス展開しています。
1つめは、最も認知度の高い「次世代取引ソリューション(SMC)」です。電子商談、支出分析、契約管理の3つのサービスで構成されており、購買業務の“見える化”と業務の効率化がねらいです。これは全世界に提供しています。