ソフトバンクはわずか三十数年で8兆円企業を誕生させた。その原動力となったのが、PDCAを超スピードで回す「高速PDCA」という仕組みだ。
孫社長はこの仕組を企業戦略の中心に置き一人勝ちをつづける。それは具体的にどういうものなのか?
9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の話題沸騰の新刊『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。
ソニー、パナソニックに共通する戦略とは?
ソフトバンクは、創業からわずか三十数年で8兆円企業へと成長しました。
それが実現できたのは、ソフトバンクが他の会社とは違う戦略を持っていたからです。その戦略こそ高速PDCAでした。
企業が大きくなるためのプロセスはいろいろありますが、日本で多いのは、こうした戦略ではないでしょうか。
「自社の置かれた市場における機会と脅威をとらえて、自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱みの分析に基づいた企業の維持・発展をめざす」
たとえば、創業者が得意なことを事業として拡大していくパターンです。
典型的なのは、パナソニックです。松下幸之助という人が創業した会社ですが、最初は借家で作った小さな電球用ソケットからスタートしています。それを皮切りにランプ、ラジオ、テレビ……さまざまな家電を作ることで、現在の地位を築いてきました。
ほかにも、ソニー、トヨタ、ホンダ……と、今の日本を代表する大企業の多くがこうして成長しています。
1人のビジネスセンスに優れた技術者が、持ち前の技術を使ってこれまでになかった便利なものを作り、それを本業にしてビジネスを拡大していく。そして製造だけでなく、販売といったことにまで事業を広げていき組織を大きくしていく。
これが、これまでの日本企業の成長ストーリーだったと言っても過言ではないでしょう。