社内外から反対意見が噴出したが……

 ところが、このビジネスのプランを提案すると、社内外ともに反対が相次ぎました。

「忙しいビジネスマンが、1年で1000時間も勉強するのは無理だろう」

 それが多くの意見でした。

 さらに、専属トレーナーがマンツーマンで受講者をサポートするというサービス内容にも疑問符がつきました。

 一人ひとりにパーソナルトレーナーがつくようなものですから、そのぶん人件費がかかり、受講料は高くなります。「他の英会話スクールに比べて高すぎる」という声も相次ぎました。とはいえ、私には勝算がありました。

 英語学習業界では常識外かもしれませんが、他業界ならすでに同じビジネスモデルが成功しています。

 パーソナルトレーナーがついて、必ずダイエットを成功させると謳ったフィットネスジムが大ブームを巻き起こしたことは、皆さんもご存じの通りです。だから、「トレーニングが厳しくても、料金が高くても、必ず結果が出るならニーズはあるはずだ」という確信がありました。

 ビジネスモデルだけでなく、「顧客1人当たりの獲得コスト」を設定する際も、このジムをお手本にしました。

 ジムの運営会社の財務諸表を分析したり、フィットネス業界に詳しいコンサルタントに話を聞いたりして、業界の仕組みを徹底的に研究したのです。

 その数値をもとに、「1人の受講者に入会してもらうまでに、いくらお金をかけていいか」の指標を決定できたので、目標を設定する段階で余計な手間や労力を費やすことなく、私たちのビジネスは一気にスタートダッシュを切ることができました。