4月24日の統一地方選後半戦で注目されたのは、全国唯一の財政再生団体である北海道夕張市の市長選だ。4人の新人候補が名乗りをあげ、混戦となった。
結果は、応援職員として約2年間、夕張市で働いた経験のある東京都の元職員が当選した。夕張出身ではなく、地縁血縁とは無縁だったが、地元の若手市民らの要請を受けて立候補を決意。30歳で全国最年少の市長となった。
4人の候補のうち、落選した2人も同様だった。一人は、05年の郵政選挙で夕張市を含む選挙区から小泉チルドレンとして出馬した元国会議員。もうひとりが前回(2007年)の雪辱を目指した人物だ。各地の首長選への出馬を重ねる有名人で、大阪市長選に長野県知事選、大阪府知事選、東京都知事選と話題の選挙に参戦し、大敗を喫している。今回が15度目の立候補となったが、あえなく連敗記録を更新する結果となった。4人のうち地元出身の候補はわずか1名で、最下位での落選となった。
夕張市長選のような賑やかな選挙は例外的なケースだった。候補者数が定数を超えず、無投票となる事例が続出した。なかには「一体、なぜ?」と首をひねってしまう事態も生まれていた。
栃木県芳賀町で町長選と町議選が行われた。ところが、いずれも立候補者が定数を上回らず、無投票に終わった。町議選では初めてのことだったが、それもただの無投票ではなかく、事態はより深刻だった。定数16に対し、立候補手続きをしたのはわずかに15人。選挙が成立しなかったどころか、定数割れとなってしまった。それも、無投票になりそうだと察知した政党が急遽、候補を立てたにもかかわらずである。議員になろうという住民が姿を消しつつある。
芳賀町の議員報酬は、月25万円。政務調査費が月5千円、支給される。期末手当が年間2.95カ月で、町議の年収は約380万円となる。名古屋市議などとは比べものにならないが、やってられないと文句をいう額ではない。また、芳賀町は四年前に議員定数を20から16に削減したばかりだった。結局、議席ひとつを空席にしたまま、新しい議会がスタートすることになった。