「なんか、バカバカしいよなぁ。オレたちは、近藤さんの実績づくりのために利用されているようなもんだし。近藤さんはウチを再建したら、それを勲章にして、どうせ本社に戻るんだろ?」
「戻ったら、本社の社長の有力候補か。近藤さんは運がいいよなぁ」
確かに、彼らにしてみれば、バカバカしい。
私が本社の役員を兼務している以上、社員のモチベーションも、ロイヤリティも上がらない。
私自身の日本電子での将来と、目の前の日本レーザー再建との板挟みで、私自身も心の葛藤がありました。
社長の決意が社員を変えた
そして私は、再建2年目に、3期6年務めた日本電子の取締役を退任することを決め、背水の陣を敷いて日本レーザーに専任することにしたのです。
「私は、日本レーザーという船の船長として、社員のみんなとともに航海に出る。船員を置いて、途中で下船することは決してない」
「必ず全従業員の雇用を守る。だから、会社を立て直すために協力してほしい。もし、私の方針に賛同できなければ辞めてもらってもかまわない。けれど、自分が社長である限り、絶対に解雇はしない」
この私の決意が、社内を変えました。
くすぶっていた社内の空気が変わり、再建は加速度的に進み、2年で復配にこぎつけることができたのです。
会社は、社長の「決意」によってつくられます。
だから「他人事」ではいけない。
社長は、「本気」の度合を周囲に見せる必要があります。
社長の本気が、社員を本気にする。
そして、社員の本気が会社を立て直すのです。