飛田が銀座なら、かんなみは横浜
高くてもお客がつく理由

 やり手婆の客引きも、心なしか飛田に比して活気がある。そこに、はち切れんばかりの笑顔で両手でブンブンブンと手を振るキャミソール姿の「お運びさん」がいる。

「この子やで。めちゃ可愛いやろ!お兄ちゃん、もう5回以上往復しとるがな、ええ加減にしいや!女を待たせる男は最低や。最低な男はクズや。ここまで言われて入らへんのはカスや。ここまで言われて入らへんのはどういうこっちゃ?」

 必死でやり手婆が記者に客引きする。だが、取材である。必死でやり手婆を振り切り、「飲み屋」前にある駐車場へと一旦、退却することにした。

 その駐車場で出会ったのが、ケンタさん、ショウさん、タクミさんの大阪府内で工員をしているという今年20歳の3人組だった。

「いや、飛田もええんですけどね、最近、人(客)多いでしょ?それにあそこはゆうたら高級店ですわ。女の子も落ち着いた子が多いし。ここは弾けた子が多いから。うちらは遊ぶんならかんなみですわ」

 3人組のリーダー格に見えるケンタさんは、高校卒業後、初の給料は飛田で使ったという若き「夜の帝王」だった。飛田以外にも、関西には新地がいくつかある。主なものは「5大新地」と呼ばれ、「今里(大阪市生野区)」「松島(同西区)」「信太山(大阪府和泉市)」「滝井(大阪府守口市)」の各新地、そして飛田。この全てを網羅したという。かんなみは5大新地には入っていないが、遊び慣れた“通”の間では絶大な人気を誇る新地である。

 そのケンタさんが、「東京のマスコミ」である記者にレクチャーしてくれた。

「東京やと銀座に当たるんが飛田ですねん。松島は六本木なんかなあ。このかんなみは横浜ゆう感じやないんですか?信太山は上野、滝井はどこなんやろ?新地のなかでもいちばん規模が小そうて。僕らよりも年配の人に人気ある雰囲気ですわ」

 今里新地だけが抜けていた。それを記者が問うと、今度は、ケンタさんの後ろにいたショウさんが「俺の出番」とばかりに口火を切った。

「今里はコリアタウンでしょ?せやからコリアンの人が多いんですわ。僕はコリア美人のほうが好みなんですけど。今日はこいつらに付き合ってきたからね……。さっきケンタがゆうたけど、ここの女の子は“友達感覚”でいけるから。そこがええんですわ」

 それにしても20分1万円という価格設定は、他の風俗店と比べても割高だ。「本番行為」のない大阪市内のファッションヘルスだと30分から40分で9000円から1万円である。「本番行為有り」の神戸市内のソープランドでは、格安店なら50分で1万円というところもある。なぜ彼らはこうした店を利用せず、わざわざ「短くて高い」かんなみに足を運ぶのだろうか。

「そら、女の子のレベルの高さですわ。見た目もあるけど新地の子は、絶対、手抜かへんからね。あんだけ熱心にサービスしてくれたら、そら通わなあかんでしょ?」