改革の年次計画を発表するJA全農の成清一臣理事長(中央)。地方組織まで改革を浸透させられるかが鍵を握る Photo:KYODO/amanaimages

 JAグループの農業関連事業を担うJA全農が3月28日、自らの改革の年次計画を公表した。政府・与党は全農の“ドル箱”で農家に生産資材を売る「購買事業」を縮小し、その分、農産物を売る「販売事業」を拡充するよう求めていた。それに向けた事業や体制の見直しが年次計画の焦点だったが、全農は具体策を明らかにしなかった。

 JAグループによる自浄作用が見られなかったことで、今後、政府によるJAグループへのプレッシャーが強まることになりそうだ。

 全農は、昨年11月に政府・与党が策定した農業競争力強化プログラムに沿って年次計画を検討してきた。だが、同プログラムをまとめた自民党の小泉進次郎農林部会長は3月28日、全農からの説明を受けた後、「農業改革に残された時間は少ない。その危機感を共有できているか、疑う部分があった」と不満をにじませた。

 というのも、小泉氏が最大のポイントに挙げていた購買事業の改革が不十分だったからだ。

 全農は購買事業の縮小後の体制などを示すのを6月に延期。さらに肥料・農薬を値下げするための競争入札など、生産資材の仕入れ方法の見直しも先送りした。