こんなリーダーは嫌われる

 もうひとつリーダーが厳に慎むべきは、部下からの報告に「そんなことは知っている。俺のほうが詳しい」と張り合うことである。こういう上司はどの世界でも意外に多い。記者が目を輝かせて報告しても「そのネタ元とは俺のほうが古い付き合いで、俺が聞いている話はこうだ」と大勢の前でこれ見よがしに言われては、モチベーションは一気に下がる。「だったらあなたが自分で取材して書けばいい」となってしまう。

 もちろん長いキャリアを積んでいるリーダーが、部下よりも取材ネットワークも知識も豊富なのはよくあることだが、こんなとき私なら、こっそりその記者に「俺もこんな話を聞いたよ」と取材メモの形で渡すようにする。あるいは「その件ならこの人も詳しいかもしれないから聞いてみたら」とネタ元を紹介したりする。その場合、担当デスクの了解を得ることはいうまでもない。編集長がデスクの頭越しに現場の記者に指示することはあり得ないからだ。

 さらにリーダー失格といえるのが、部下の悪口を外部に向かって言いまくることだ。「デスクが全然ネタを取ってこられないんだよ」とか「現場の記者の取材の詰めが甘くてまいったよ」などと外に向かって愚痴る。こうした発言はまわりまわって当人の耳に必ず入る。そうなると「だったらあなた一人で雑誌を作ればいいではないか」となってしまう。

 雑誌作りはチーム作業だ。いくら編集長がスーパーマンだとしても一人では絶対にいい雑誌は作れない。もしデスクなり現場の記者に対して不満がある場合は、直接本人を別室に呼び出して、あくまでサシで率直にそれを伝えるべきだ。