日米首脳会談では南鳥島周辺でのレアアース採掘を含め、経済安全保障分野の協力を確認した Photo:Andrew Harnik/gettyimages
EV(電気自動車)やスマートフォンなど幅広い製品に欠かせないレアアース。現状、中国が圧倒的なシェアを誇り、経済安全保障や外交の道具にもされているが、ようやく日本でもレアアース生産を目指す取り組みが本格的に始まった。連載『株式相場の歩き方』の本稿では、国産レアアース開発の現在地を解説しつつ、注目すべき6社を取り上げる。(経済ジャーナリスト 和島英樹)
南鳥島沖でレアアース泥を採鉱
中国依存からの脱却を目指す
2026年1月、日本国内でのレアアース(希土類)生産を目指す取り組みが本格的に始まった。政府が主導する計画で、小笠原諸島の南鳥島沖でレアアースを含む泥を採掘する探査船「ちきゅう」が、静岡県の清水港を出港した。
レアアースとはレアメタルの中のイットリウム、ルテチウムなど17種類の金属元素で構成される。電気自動車などの小型モーター磁石、燃料電池用固体電解質、自動車排ガス処理触媒などに欠かせない素材が含まれる。
現状、中国が圧倒的なシェアを占めており、経済安全保障の道具にも使われるレアアースだが、実は南鳥島周辺のEEZ(排他的経済水域)内にはレアアースを豊富に含んだ「レアアース泥」やマンガンノジュール(海底に堆積した金属の塊、コバルトやニッケルなどを豊富に含む)が大量に存在するといわれている。EEZは沿岸国が資源開発や漁業などの権利を占有できる水域のことである。
レアアース泥はプランクトンの遺骸などが堆積した遠洋性の泥の中で、10年ごろに南鳥島周辺の水深6000メートルの海底面に存在することが発見されている。中国では鉱山から採掘したレアアースによる環境汚染などが問題となっているが、海底面から回収されるレアアースは、鉱山から回収されるものとは異なり、放射性などの汚染物質を含まないクリーンな資源であることも特徴だという。
内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一つである「海洋安全保障プラットフォームの構築(SIP海洋)」によると、今回は1月11日から2月14日までの予定でレアアース泥採鉱システム接続試験を実施。
順調に進めば、27年2月には同じ海域で1日当たり最大350トンの泥を採取する能力を実証する試験を予定している。SIPでは商業生産などの時期について明らかにしていないが、大手調査機関は30年ごろに商業採掘が始まる可能性があるとみている。
にわかに盛り上がってきた国産レアアース開発だが、実は今回の南鳥島沖でのレアアース泥採掘の前から、日本政府はレアアースについて布石を打ってきた。なぜならば、日本には苦い思い出があるからだ。
次ページでは国産レアアース開発の状況を解説。果たして、日本はレアアース供給国の世界大手になれるのか。レアアース関連で注目の日本企業6社も紹介数する。







