なんともいえない、既視感がある。基本政策が異なるはずの野党が共闘し、安保法制を「戦争法案」と叫び続けたように、野党は今回の法案でも「共謀罪」という名称にこだわり、叫び続けるのだろう。そして、ただひたすら廃案に向けて、一切妥協せず、反対を訴えるのだろう。既に「共謀罪反対デモ」は広がりつつあるが、また国会を取り囲むのだろうか。

国民の関心は経済に集中
五輪まで安倍政権は盤石

 だが、安倍政権は国政選挙で4連勝して、圧倒的多数派を形成していることを忘れてはならない。国会で野党がどんなに激しく批判を展開し、既に不安視されている金田法相の答弁が更に迷走しようとも、安倍政権は簡単に法案を可決させることができるのだ。

 徹底的な「共謀罪反対」のアピールで、安倍政権の支持率を落とし、次の選挙での勝利を狙うのかもしれないが、残念ながらその戦略は安保法制の際に完全に失敗したではないか。2016年7月の参院選で、野党は「改憲勢力に衆参両院で3分の2の議席獲得を許す」という、戦後政治において野党が最低限死守すべきラインすら割ってしまう、最悪の惨敗を喫したのだ。この戦略が成功しないのは明らかである。

 実際、「森友学園」の問題が長期化しても、安倍政権の支持率はほとんど低下していない。国民の関心は経済である。安倍政権による日本社会の「右傾化」を嫌だなと思っていても、日本がまた戦争をする国になるというリアリティはない。

 安倍首相は、おそらく今年中に解散権を行使することはない。来年秋の自民党総裁選後になるという予測もある。現在、経済は停滞気味だが、東京五輪が次第に近づいてくると、派手派手しく景気対策が打ち出されるだろう。折しも、「将来の増税、歳出削減を国民が予想するので、結果的にデフレになる」「増税や歳出削減を一切予定せず、インフレによる財政赤字返済を前提とした追加財政を行うべき」という荒唐無稽としかいいようがない理論が米国からやってきて、安倍政権が都合よくそれに乗ろうとしている。

 もちろん、まじめに財政危機や将来世代の負担の軽減を訴える人はいるだろう(例えば、山田厚史の「世界かわら版」2017.3.30付)。しかし、国を挙げて五輪を盛り上げようという「空気」が広がり、それに水を差す異論を許さなくなっていくはずだ。そんな時に、安倍首相は解散総選挙に打って出る。その結果がどうなるか、言うまでもないだろう。