あなたはバリュー型ですか、グロース型ですか?──ファンドマネジャーに尋ねると、長時間に及ぶ熱弁を聞くことになるだろう。
バリュー型、グロース型とは、株式運用の代表的な運用スタイル名で、日本語を当てると前者は「割安株投資」、後者は「成長株投資」となる。
バリュー型の運用は、株式の本来の価値よりも安いと判断する銘柄にウエートをかけることで、市場平均を上回る収益率を上げようとするアプローチだ。PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、あるいは、ファンドマネジャー独自の株価評価尺度を使って、相対的に割安な銘柄を見つけようとすることが多い。
他方、グロース型は、利益の成長率が高い銘柄に重点的に投資して、利益成長に伴う株価の上昇で収益を上げようとする。個々の企業やビジネス分野の調査がベースになる。このアプローチは、うまくいっているときには、運用者が先見性を発揮しているように見えるので、顧客受けがいい。
どちらの運用スタイルでも、運用者は市場平均に勝る運用パフォーマンスを上げようとするが、目的を達成するためには、バリュー型では「他の市場参加者よりも正確に株式の価値を評価する」ことができなければならない。グロース型では「他の市場参加者に先んじて企業の利益成長の可能性を見出す」ことができなければならない。「他の市場参加者」を出し抜かなければならないことは共通だ。
バリューとグロースは、運用の考え方であり、銘柄の属性そのものではない。この点は、はっきりさせておくほうがいいと思うが、運用業界では「バリュー銘柄」「グロース銘柄」のように銘柄の属性として二つの概念を使う場合もある。よくあるアプローチは、PBRが低い銘柄をバリュー銘柄、高い銘柄をグロース銘柄とするもので、この基準で上場銘柄を時価総額において2分割した「バリューインデックス」「グロースインデックス」といった株価指数が作られている。