厚生労働省は食生活指針の中で「果物も、がん予防の観点から、その摂取量が少ない場合がんのリスクが上がるとされているので、毎日取るように心がけましょう」と勧めている。永田徳本が現代にいればきっと、ブドウを食べることを勧めるに違いない。できたらポリフェノールが多く含まれている皮ごと食べたいところだ。

 ところで数年前、ブドウの皮に含まれるレスベラトロールというポリフェノールが、長寿に関わりがあるとされるサーチュイン遺伝子を活性化させるのでは、と話題になった。しかし、実際には長寿遺伝子を直接活性化するわけではなく、その効果には疑問や不明な点が多い。

 一つの栄養成分に過剰な期待を寄せるよりも毎日の食事の栄養バランスを心がけ、適度な運動を欠かさず、人生を楽しむ方がいい。ちなみに有名な湿布薬トクホンの商品名と会社名はこの永田徳本に由来している。直接的な関係はないが、徳本の名前は現代にも残っている。

(小説家・料理人 樋口直哉)