日野原重明先生は日本人の長寿にも大きく寄与したイラスト/びごーじょうじ

 脳血管障害やがん、心疾患や糖尿病や痛風、高血圧などの慢性疾患はかつて成人病と呼ばれていた。やがて、これらの病気の罹患には生活習慣が関わっていることがわかり「生活習慣病」と改められた。この改称を主導した医師の一人が聖路加国際病院の名誉院長、日野原重明先生(以下、敬称略)である。

 日野原は現在の長寿大国ニッポンの象徴だ。若き頃から医師として活躍するが、よど号ハイジャック事件に遭遇したのを契機に、医師としての名声を追い求める生き方を捨てる。聖路加国際病院のさまざまな役職を歴任した後、院長に就任する。聖路加国際病院は1995年の地下鉄サリン事件の際に被害者治療の拠点となり、犠牲者の数を抑えたことでも有名だ。

 また、彼は健常な人を対象とした診断、いわゆる人間ドックを広め、日本人の健康増進に大きく寄与した。2001年に出版された『生きかた上手』という著書は100万部を超えるベストセラーになっている。

 日野原は著書『病気にならない15の食習慣』で自らの食生活を披露している。1日トータルで栄養バランスを考え、朝食はオリーブ油をテーブルスプーン1杯入れたオレンジジュースと小ぶりのバナナが1本、昼ご飯はクッキーを2~3枚と牛乳、夕食は葉酸とビタミンB群豊富なブロッコリーなどを中心にした野菜と動物性タンパク質をしっかり摂取、ご飯も茶わん半膳ほどと果物、という具合だ。牛乳に大豆レシチンを足しているという話もある。