あのトヨタが住宅事業を展開しているが
ピンと来ない?
企業にとって自社のブランドをどのように確立し、価値を高め、さらにどんな商品に広げていくか、その“ブランド戦略”は、経営戦略の重要なテーマです。今回はトヨタ自動車が行っている住宅事業の先行きを“ブランド拡張”理論で解き明かしていきます。
トヨタの住宅事業への参入は意外に古く、1975年からトヨタ本体でスタートし、2003年にトヨタホームとして分社化し、現在にいたります。トヨタの創業家、豊田家では“一代一事業”というモットーがあり、住宅事業に参入したのは、豊田章一郎氏(現トヨタ名誉会長)の発案です。ちなみに現在のトヨタの社長、豊田章男氏は章一郎氏の長男です。
トヨタの住宅事業の年間売上高は約800億円で、同社の連結売上高20兆円からみると微々たるものにすぎません。また、住宅専業メーカーの2強、積水ハウスと大和ハウスの売上高が優に1兆円を超えているのに比べ、住宅業界内でも規模的に見劣りしてしまいます。自動車産業で世界トップを走るトヨタブランドを掲げている事業としては、残念ながら存在感が薄いといわざるをえません。
トヨタといえば、自動車のイメージが強すぎて、住宅といってもピンと来ないという一般消費者が多いのも原因かもしれません。