自動車と住宅が融合する?

 そんなトヨタの住宅事業ですが、ここにきてがぜん注目を浴びるようになってきました。注目のきっかけは、プラグインハイブリッド車や電気自動車などの次世代自動車と、省エネルギーの切り札として期待される“スマートハウス”の登場です。スマートハウスとは、家庭内の電気機器を一括管理するシステムを設置し、エネルギーを効率よく使えるようにする仕組みをもった住宅のことです。

 具体的には、太陽光パネルで発電した電気を家庭内で利用したり、蓄電機能を持つプラグインハイブリッド車や電気自動車のバッテリーに充電したりします。バッテリーに充電された電気は、非常用電源となったり、電力会社に売電したりすることもでき、家庭内での電気の有効利用にとどまらず、地域での省エネルギーにも貢献します。

 スマートハウスでは、発電する電力と使用する電力の変動をバッテリーで調整しています。ですから、スマートハウスの運用で重要な機能を果たすのが、バッテリーを持つプラグインハイブリッド車や電気自動車ということになります。つまり、従来は親和性の薄かった自動車と住宅が、スマートハウスでは、非常に密接な関係になるわけです。

 これは自動車事業と住宅事業の両方を持つトヨタにとって、願ってもない追い風です。特に今まで存在感の薄かった住宅事業の拡大に間違いなくプラスに働くでしょう。実際、トヨタのおひざ元の豊田市では、トヨタハウスが中心になり、スマートハウスの住宅団地(全67区画)を建築し、その一部の販売を6月3日に開始しました。この住宅団地は経済産業省の「次世代エネルギー・社会システム実証地域」にも選ばれています。