なぜ、16~18時は
大事な仕事をするのに向いているのか?
まず理解しておきたいのは、日中は基本的に活動に適した時間帯であるという点です。
朝起きて活動し始めると、体の中では交感神経が優位になっていき、体温、血圧が上昇し、血管は収縮、心肺機能は拡張、瞳孔は開くなど、徐々に心身が活性化し、戦闘モードになっていきます。このように体がポジティブな状態になるからこそ、脳も働きやすくなるのです。
時間医学の研究者である大塚邦明氏(東京女子医科大学名誉教授)は、こうした交感神経の働きとホルモン分泌の連携に注目しています。
「交感神経は、副腎から分泌されるドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンという3つのホルモンと共同して働き、その効果を高めています。3つのホルモンの血液中の濃度が最も高くなるのが13~15時、交感神経の活動が最も強くなるのが15~17時ですから、13~17時の時間帯は精神活動が最高潮で、気分もよく、体温が高く、体力が最高になる時間といえます」
ドーパミンの分泌が増えると意欲が増し、快感モードになるのに対し、ノルアドレナリンの分泌は不安や恐怖、怒りを起こします。
基本的には、脳内でつくられたドーパミンをもとにノルアドレナリンがつくられ、さらに副腎(副腎髄質)でノルアドレナリンからアドレナリンがつくられます。
アドレナリンも、臨戦態勢の時に活性化するホルモンで、脳内の神経伝達物質として働くノルアドレナリンに対して、こちらは体中をめぐることで組織や器官に興奮系のシグナルを伝達していきます。こうしたポジティブなホルモンの力を借りて体の機能が活性化していくことで、私たちの体は徐々に能力が発揮しやすい状態に変わっていき、仕事がはかどったり、発想力が高まって思わぬアイディアが出たりするようになるのです。そういった意味では、こうしたホルモンが分泌される時間帯はクリエイティビティが発揮しやすい時間といってもいいかもしれません。
具体的には、神経系と内分泌系(ホルモン)、そして体温上昇(起床時より夕方にかけて上昇し、夜に向けて下降していく)のピークが重なった16~18時頃が、体の機能性が最も高まる「ゴールデンタイム」(生理的に見て体がいちばん活性化する時間を、本書ではこう呼ぶことにしました)にあたります。
コンディションを整えることで、こうした「はかどる」時間を有効に使い、仕事を効率的におこなっていきましょう。