「毎日できること」の鉄則とは?

 では、「毎日できること」はどうやって見つければいいのか。

 ポイントは、「プロセス」に分けることです。

 ちょうどいい実例があるので、それをもとに説明します。

 あるとき、私のもとに、不動産会社で営業をしている山田君(仮名)が深刻な表情で相談に来ました。私の大学のゼミの後輩で、この仕事を始めて数ヵ月が経った若者です。

「法人向けオフィスの賃貸物件を担当しているが、なかなか契約がとれない」

 それが彼の悩みでした。聞けば、会社からは「毎月3件の契約をとる」という目標を与えられていると言います。

 そこで私は、まず山田君が契約をとるまでの手順をまとめました。

(1)見込み客リストの会社に電話する
(2)不動産管理の担当者と話し、アポイントをとる
(3)アポイントがとれた会社を訪問する
(4)担当者を物件に案内して内見させる
(5)契約を結ぶ

 これが彼の仕事のフローであり、大きく分けて五つの「プロセス」に分けられます。

 彼の目標は「月に契約を3件とる」というもので、これは大きな目標に当たります。

 そこで私は五つのプロセスの中から、「(2)不動産管理の担当者と話し、アポイントをとる」というプロセスに着目しました。

 なぜここに着目したかというと、担当者とのアポイントがとれないことには仕事が大きな目標に向かって前進しないからです。逆に、ここの流れがよくなれば物事がスムーズに進むきっかけになります。

 実際に、山田君はそもそもアポイントをとるのが苦手だったようです。