わずか三十数年で8兆円企業へと成長したソフトバンク。多くの企業が日本経済の停滞に苦しむなか、圧倒的な拡大を続けることができたのは、日々の目標である「小さな目標」の管理を怠らなかったからだ。
ソフトバンクでは今も、6万人超の社員にこの資質が求められ、それは確実に企業の拡大に貢献している。
そこにはどのような決まりがあり、習慣があるのか? 9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の発売1ヵ月半で5万部を突破したベストセラー『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。

なぜ「毎日の目標」が必要なのか?

 小さな目標には明確なルールがあります。

(1)毎日できる
(2)具体的なアクションである

 なぜ「毎日できる」をルールにしているのか。

 一般的な会社では、個人の「目標」といえば、月間もしくは週間で設定されることが多いのではないでしょうか。

 営業なら毎月のノルマが決められ、月末になって初めて「今月の目標を達成できたかどうか」を本人も会社も把握する。

 そんな仕事のやり方をしているケースがほとんどだと思います。

 しかし、PDCAを回すサイクルが月間や週間では、あまりに遅すぎる、というのが私の所感です。

 これでは、週や月の終わりになるまで、自分の勝ち負けを知ることができません。「負けた」と自覚できなければ、悪かった点を改善することも難しい。

 仮に月の終わりに負けを自覚しても、過去1ヵ月のことをまとめて振り返るのは、記憶も曖昧になっていますから容易ではありません。細かいことはすっかり忘れてしまい、重要な改善点を見逃すことになります。

 自分の失敗にできるだけ早く気づき、大きな痛手にならないうちに、こまめに改善を繰り返す。それが高速PDCAの重要なポイントです。

 そのためにも、毎日の結果を確かめる必要があります。