新しい事業として、人材派遣業に参入

上原 再建築不可の土地や全空室のアパートなど、「ほかの人があまりやりたがらないことをやる」のが生形さんのスタイルなんですね。

生形 最近、『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA』という本を読みました。ソフトバンクの孫さんも、ADSL事業など誰もやりたがらないことを、人に先駆けてやることで成功を収めてきたそうです。自分の考えは間違っていないと実感できましたね。

上原 私も「人がやりたがらないこと」というか、「多くの人が悩んでいること」をビジネスのヒントにしています。じつは昨年、人材派遣業を始めたんです。最近いろいろな業界の人手不足が話題になりますよね。たとえば配送業界では荷物の仕分け作業をする人が足りない。そういう業務を請け負っています。

生形 登録しているスタッフはどんな人ですか?

上原 主婦が中心です。最初は知り合いのママ友達を誘って始めました。10人くらいのスタッフから始めて、あとは口コミ・紹介で増やしていき、現在は50人くらいになりました。

生形 すごいですね。なぜ短期間でそんなに人員を増やすことができたのですか?

上原 普通の派遣会社よりもマージンをもらっていないので、スタッフに比較的高い給料を払うことができているからです。なぜそうできるかというと、雇っているスタッフの多くが主婦、つまり、夫の扶養の範囲内で働きたい人ばかりなので、会社としては社会保険などのコストがかからないからです。

 それからママたちが働きやすい環境にしていること。たとえば、「子供が熱を出した」とかで急きょ休まなければならないことがあります。普通の職場では気を使ってしまいがちですが、うちでは気兼ねなく休んでもらいます。その代わりお互い様ということで、ほかの人が大変な時には助けてもらうようにしています。

生形 子育て中のママさんにとってはありがたいでしょうね。

上原 それから人間ですからどうしても不平不満が生じますが、私が話を聞く係になって、愚痴でもなんでも聞いてあげるようにしています。女性って誰かに話をすればスッキリするところがありますから。

生形 クライアントの人手不足を解消し、仕事が欲しいママたちの悩みも解消できる。ウィンウィンの関係ですね。事業として、いいところに目を付けましたね!!

上原 在庫が不要で、リスクも少ない。とてもいいビジネスだと思います。ストック収入かフロー収入かでいえばフローですが、私が出社しなくても成り立つような仕組みを徐々につくっていて、ストック収入になりつつあります。

生形 フロー収入でも、自分の手間がかからない仕組みをつくれば、それはストック収入になりますね。儲けのコツはたった1つで、いかにストック収入を増やしていくか、ということだと思っています。

(続く)

生形大(うぶかた・だい)
1977年生まれ、富山県富山市出身。横浜国立大学大学院修了後、外資系証券(バークレイズ証券・JPモルガン証券)出身の投資家。国内12棟189戸、海外3戸、都内の戸建て・区分マンション4戸の不動産を所有。不動産以外にも株・FX・先物・オプション取引・オフショアファンドなどあらゆる金融商品に精通し、現在は資産運用の専門家として独立、アドバイスなどを行っている。
上原ちづる(うえはら・ちづる)
スッチー大家。元キャビンアテンダントで、ANA時代に学んだコミュニケーション術や経験をベースに不動産投資を開始。現在、3棟28戸、戸建て賃貸3戸、コインパーキングなどを運営し「雑食不動産投資」を実践中。そのほか人材派遣業などもはじめ、3人の子持ちながら、ママ経営者として忙しい日々を送っている。