小池都知事が進める私立高校の授業料無償化。その実態は「都民ファースト」の名を借りた近隣窮乏化政策ではないか Photo by Takahisa Suzuki

国も問題視し始めた
東京都の私立高校授業料無償化

 先月この連載で、小池都知事が今年度から始めた私立高校の授業料無償化に関する問題点を指摘しましたが、この問題が4月25日に開催された政府の経済財政諮問会議でも議論されたので、改めてその問題点を考えてみたいと思います。

 最初に復習をしておくと、これまで東京都では、公立高校の授業料は無償、私立高校の授業料は世帯収入に応じて補助されていました。都内の私立高校の授業料の平均は44万円なので、生活保護世帯ならその全額、それ以外の世帯は年収によってそれより少ない額を補助していました(たとえば年収760万円の世帯なら22万円)。

 それが小池都知事の政治決断により、今年度からは年収760万円までのすべての世帯を対象に、44万円を補助することにしたのです。

 高等教育の無償化について政府が検討を行なっている中で、小池都知事はそれを先取りしたと言えるのですが、この東京都の政策について、経済財政諮問会議では以下のような議論が行われました(内閣府のHPで公開された議事録から抜粋)。


(高橋議員)

 私立高校の授業料無償化について、各県はそれぞれ年収の上限を設定しているが、東京都は760万円で、隣の神奈川県は250万円ということで、非常に大きな差がある。この場合、横浜に住んでいて東京の学校に通っている家庭は760万円の対象にならない。いわば教育養成サービスの格差について、文科大臣はどうお考えになるのかということを、ぜひお聞きしたい。