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PCメーカーからエンタープライズベンダーへ
EMCを手中に収めたデルが狙うもの

――マイケル・デルCEOに聞く

末岡洋子
【第148回】 2017年5月25日
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 一方で、全てをやるわけではなく、提携も進める。Dell Technologiesは会期中「Dell Technologies Capital Group」の立ち上げを発表した。会期中、年約1億ドルペースで新しい技術に出資する方針を明かしている。また、社内でも、多数の開発者や研究者が新しいソリューションを開発しているという。

 注目すべきが、Dell EMCがデータセンター事業に抱える1万人の開発者のうち、ハードウェアに取り組むのは400人、残り9600人はソフトウェアを担当しているというDell氏の言葉だ。VMware、Pivotalなどを取得することで、Dell Technologiesはハードウェアだけでなくソフトウェアを手がけるパワーハウスとなっているのだ。

 既存ハードウェアベンダーからの発展という点では、課金モデルがある。今回のDell EMC Worldの目玉の1つが、「Cloud Flex」などの新しい支払いモデルである。Cloud Flexの場合、顧客は毎月使用した量に対して支払うもので、その名称が示すようにクラウドと同じ形と言える。まずは同社のハイパーコンバージドインフラ「VxRail」やDell EMC XC Seriesなどで利用できる。「コンサンプション(消費)モデルへの需要が増えている」とDell氏。ストレージには「Flex on Demand」を提供し、PC向けにはハードウェア、ソフトウェア、実装、管理、セキュリティ、サポートをまとめた「PC as a Service」を発表した。

これらは全て、Dell EMC Worldのテーマである"デジタルトランスフォーメーション"に向けたITトランスフォーメーションを実現するものと位置付けている。

狙いはあくまでも企業用途

 「われわれのフォーカスはコンシューマーではない」と言い切るDell氏、自身の出発点となるPCについても、「コンシューマー向けにPCを作る理由は、法人向けにPCを販売するにあたって個々のビジネスユーザー、つまりコンシューマーにDellのPCをいいと思ってもらうことが重要だから」とした。

 そのため、VR、AR、ウェアラブル、AIを利用したデバイスといったガジェッドが次々に登場する中、Dell自身がこのようなガジェットを作ることはないと断言した。

 そのPCでは、17四半期連続で成長を遂げたと胸を張る。「PC買い替えにあたって、“PCはどれも同じ”と低コストのPCが買われていたが、現在は生産性や従業員満足度につながるとして、コスト以外の要素に目が向いている」と、成功の理由を分析した。

 iPhoneの成功がMacにも波及するAppleに対しても、「数字に基づくなら、Macの世界の市場シェアはここ5年低迷している」と受け流した。

(取材・文、撮影/末岡洋子)

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末岡洋子

すえおか・ようこ/フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている。

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