企業向けソフトウェア開発会社として世界第5位の売り上げを誇るヴイエムウェア。2014年の売上高は60億米ドル、世界50万社に導入されている。だが、オラクルやSAP、そして新興クラウド企業のセールスフォース・ドットコムなどと比べて、ビジネスパーソンの間で知名度は高くない。
それは、同社が手掛ける製品が「仮想化(バーチャライゼーション)」と呼ばれるソフトウェアであるためだ。これは何かというと、サーバやネットワーク、ストレージなど、1つのハード機器を仮想的に何台もの機器が動作しているように見せたり、複数のハード機器を1つに取りまとめて(仮想的に見立てて)操作できるようにする技術のことだ。ITを利用するエンドユーザーからは見えない部分で使われるから、知られていないのである。
しかし、企業ITにとって、いまや仮想化は非常に重要な技術の1つと言われている。仮想化が導入されたシステムでは、たとえばサーバなどのハードウェアを増設したい、または機能をバージョンアップしたいというときに、管理者の設定は1つのバーチャルなシステムに対して行うだけでよくなり、作業時間の大幅な短縮=コストダウンになる。同社のソフトウェアは、IT利用者の前面からは見えないが、背後では重要な役割を担っているのである。最近では、サーバ機器だけでなく、ネットワーク機器、ストレージ機器も含めたデータセンター全体を仮想化する技術も提供している。
当初はITのコストダウン手法として
企業から注目される
ヴイエムウェアの創業は1998年、日本法人が設立されたのは2003年にさかのぼる。2005年に日本法人の社長に就任した三木泰雄氏(現会長)が、2007年に幹部として招いたのがジョン・ロバートソン氏(右上写真)だ。そこから、三木氏とロバートソン氏との二人三脚による市場開拓が始まる。
「当時は、企業に営業に行って“仮想化”と言っても、特殊なコンピュータの技術の話だろうと思われていました。ビジネスに関係あることだと理解してもらえるまで、なんども説明する必要がありました」とロバートソン氏は振り返る。