6月28日、上海市内の中心街にある花園飯店で、在上海日本国総領事館、上海対外友好協会、上海日本商工クラブなどが共同で「日本観光・食品展」を催した。福島、宮城、青森などの被災地も含む20以上の日本の地方自治体、20社以上もの観光関係または食品関係の日系企業が集まり、東日本大震災の影響で日本旅行を敬遠する中国人観光客へのアピールを行った。

 安徽省の観光行政を司る同省旅遊局の胡学凡局長ら一行を会場に案内した私は、ホテルの中で行われる展示会なので規模も知れたものだろうと高をくくっていた。だが会場に入るとその意外なにぎわいに驚きを覚えた。日本メディアの発表によれば、2千人以上の招待客でにぎわっていたという。

 展示会の前半は愛媛県の黒マグロの解体ショーが会場を賑わし、後半は、抽選で全日空塗装のボーイング787型機の模型を扱う全日空のコーナーで長蛇の列となった。カレーライスや和菓子の試食、ミネラルウォーター、飲料などの展示コーナーにも人だかりができていた。長い列を作って入場する中学生らの登場も会場内の人々の喝采を浴びた。

 上海総領事館の泉裕泰総領事が日本観光・食品展の開幕前に開かれた記者会見で、同館で発給された中国人の訪日団体観光ビザ件数を披露した。地震直後の4月はゼロだったのに対し、5月は151件、6月は27日までで5259件に上り、急速な回復傾向を見せている。これらのデータを説明しながら、泉総領事は安堵したような表情だった。

 ただ、会場での参観者たちは、好意的なコメントを述べたりして日本を応援する一方、日本観光の回復に対してはまだ懐疑的な目を向けているきらいがある。日本をこれからの観光先にしようと思っても、実際、原発事故の影響を考えると、来年まで待ってみたいといった声も結構あった。