また、高齢になるとできれば自動車の運転を卒業する方が安心だが、不便な場所に住んでいると、これが難しい。例えば首都圏に住んでいる場合なら、駅から近い場所のマンションに住んで、自動車を持たず、必要があればタクシーを使う生活の方が、郊外に住んで自動車を持つ生活よりもローコストでかつ便利な場合が多いだろう。

 長らく札幌に住んでいた筆者の両親は、子育ての時期に、2DK、3LDK、4LDK、一軒家2軒(一度別の家に引っ越している)、…といかにも高度成長期風の住み替えを経験したが、子育てが終わると一軒家を売って、札幌市内のマンションを買い、これを「終の棲家」にしようとした。

 ところがこのマンションは、最寄りの駅から歩いて20分以上あり、両親それぞれが自動車を手放せなかったし、自動車なしで外出することが億劫になりかけた。

 そこで、このマンションを売って、札幌市内の中心部に近い地下鉄駅に徒歩2分くらいの賃貸マンションに住み替えた。札幌市の中心部にも出やすいし、高齢になると縁が生じやすい病院にも近くて、生活が便利になった。

 なお、その後、賃貸マンションに住んでいた筆者の両親は、母の叔母からマンションを譲り受けて、そこをリフォームして住むようになった。親や親戚から家を譲り受けるケースは全国的に増えるはずであり、人口が減少しているのだから、家は余る。不動産を慌てて買う必要はない場合が多いだろうし、家を選ぶ場合は、「便利な場所」であることが、特に高齢期では重要だと思う。

介護は施設で

 今年82歳になった筆者の母は、まだまだ大いに元気だが、先日、筆者と妹に「私が衰えたら、あなたたちに時期と場所の判断を任せるから、適当な介護施設に入れてほしい」と言っていた。彼女の夫(筆者の父)は、昨年89歳で他界したが、最後の2年弱を家から遠くない介護施設に入って過ごした。

「(4)介護が必要になったら、施設へ」というのが、山崎家の基本方針だ。介護は重労働だし、施設の方が「規模の利益」が働く。入浴の世話一つを取っても、自宅で素人が手を掛けるよりも、施設でプロが世話をする方が効率的であることは明らかだ。特に、介護の世話をする家族がまだ働いている場合、介護に手を取られると、存分に働けない。