ペナルティーリスクも浮上

 エンジニアリング会社にとって工期厳守は絶対だが、今回の相手は生産性のあくなき追求やシビアなコスト管理で有名な信越だ。

 しかも、このエチレンプロジェクトには信越の社運が懸かっている。というのも、エチレン内製化によるメリットは、全量を市況ベースで調達した場合と比べて年間数百億円にも上るとされる。

 全ての化学製品の大本であるエチレンを製造することは、化学メーカーにとって特別な意味も持つ。「これで名実共に『化学大手』といわれるようになる」(信越社員)と、社内の期待値も高い。

 東洋エンジは、本件を含めた大型案件2件のみを扱う特定プロジェクト事業本部を新設。足元では杭工事は完了し、キャッチアッププランも順調に進むが、今なお同社の最優先課題としてプロジェクト対応に当たっている。

 このプロジェクトの成否は、東洋エンジの命運を左右する。工期が遅れれば、ペナルティーの支払いが科される可能性が高い。そうなれば、ただでさえ追加の工事費用が積み上がったところに、泣きっ面に蜂である。

 そもそも、東洋エンジは15年3月期に209億円という大きな最終赤字を出したばかり。15年4月に社長の首まですげ替え、再建計画を遂行している真っ最中だ。

 同社には、気を抜いて足固めを怠っている時間は残されていない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)