しゃべりすぎて失敗する人
支配欲の強い人間がいる。
人を支配し、服従させたいとの思いが強い人間である。このタイプに「よくしゃべる」の条件が加わると、絶えず「こうしなさい」「ああしなさい」と指図し、口出しする。
おとなしいタイプは、仕方なく表面上従う。気の強い相手は抵抗し、しばしば口論を引き起こす。ともに、説得に失敗した結果である。
第1に、説得と支配は別のことである。支配しないで人を動かすのが、説得コミュニケーションの特徴である。
第2に、よくしゃべるタイプは、抑制が利かなくなると、話を独占して、相手の自発意思を失わせてしまう。
しゃべること自体がいけないのではない。自分1人でしゃべり、しゃべりすぎてしまうのが問題なのだ。
多弁でよく口がまわるほうが一見、説得に向いていると思われがちだが、そうではない。
なぜなら、
・話をひとり占めする
相手は欲求不満で、いらいら状態。
「勝手にしゃべっていれば。わたしは知らないからね」
非協力的態度になって、そっぽを向く。
・余分なことまでしゃべって墓穴を掘る
口が滑って、言わなくてもいいことまで言ってしまう。
「本当はキミじゃ心配なんだけど、他にだれもいないだろう。だから、キミ、やってくれないか」
相手の気持ちを考えれば、
「キミがいて助かった。ぜひ、キミに頼みたい」
もっとも、前巨人軍長嶋監督も、先発投手に、
「キミ、1回もてばいいからね」
と言ったとか、言わないとか。