5月、6月は世界の金融市場がなんとなくリスクオフ(回避)の状態にあった。米国では景気減速懸念、欧州ではギリシャの財政問題、日本では補正予算編成の遅れなどが各国の株価を抑えたようである。

 特に米国では市場予想を下回る経済指標が目立ち、米連邦準備制度理事会(FRB)は経済見通しを下方修正した。加えて米国では失業率に消費者物価指数(CPI)を加えた悲惨指数(グラフ参照)が上昇トレンドを形成中。景気後退と物価上昇が並行して起きるスタグフレーションの可能性も一部で指摘され始めている。そのためにFRBは量的緩和第2弾(QE2)終了後も長期間、超緩和的な金融政策を続けるとした。

 しかし、2012年に米大統領選挙を控えており、失業率が約9%という高水準のままではオバマ大統領の再選は難しいとの見方が強い。そのため、大統領からFRBに圧力がかかり、QE3といった一段の緩和策を打ち出すことになるのではないか。そうした米金融政策の変更が少しでも感じられると、世界の金融マーケットはリスク選好へ動き出すに違いない。ただQE3は、QE2と同様にドル安・原油高といった副作用の大きい政策ということで、米国の内外から反対が多いのも確かである。