追及されるたびに「印象操作だ」を連呼し、見苦しさ満載の安倍首相。しかし過去を振り返れば、不都合なネタに直面するたびに「印象操作だ」と切り返してきたのは民進党だし、官邸vs前川・前文科省事務次官のバトルも印象操作合戦と言える。(ノンフィクションライター 窪田順生)
安倍首相が連呼する
「印象操作」は誰が教えた?
安倍首相が野党の追及に対して連発する「印象操作」という言葉がけしからんと、「朝日新聞」をはじめとするマスコミが叩き始めた。
《「印象操作」首相が連呼 野党「どこで覚えたのか」》(朝日新聞デジタル6月3日)という記事では、ご自身も安倍首相から「印象操作」と指摘された共産党の小池晃書記局長のこんなコメントを紹介している。
「事実関係を確認しようと質問しているのに、それに答えず『印象操作だ』と応じるのでは議論にならない。聞く耳を持たないという意志の表れだ。あんな言葉、どこで覚えたんですかね?」
60歳を過ぎたおじさんがどこで言葉を覚えたのかなんてのはご本人しかわからぬところだが、なぜここにきてバンバン多用しているのかはわかる。この言葉が好きで好きでしょうがない人たちが、少し前に連日のように使うものだから、赴任したサラリーマンがその土地の方言を自然と喋ってしまうように、話法が移ってしまったのだ。
もうおわかりだろう。そう、民進党のみなさんだ。
たとえば、3月7日の衆院法務委員会では民進党の階猛政調会長代理が、「テロ等準備罪という言葉は世論を誘導しようとする印象操作だ」と政府の批判を展開している。(朝日新聞3月8日)
テロ等準備罪をめぐっては、2月9日の衆院予算委員会でも山尾志桜里衆議院議員が「国民をだました印象操作しようとするやり方だ」(同紙2月17日)とドヤ顔でおっしゃっている。そして、この日にはもう一発、民進から派手な「印象操作砲」が炸裂している。南スーダンの国連平和維持活動の日報問題で、稲田朋美防衛相の辞任を求めた後藤祐一衆議院議員もこんなことをおっしゃっているのだ。
「実際は戦闘なのに衝突と置き換えて事実を隠蔽する。間違った情報を国民に流して印象操作をしている」(朝日新聞2月10日)