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働き方改革によって、労働時間は短くなった。しかし現実には、稼ぐためにもっと働きたいと願う人は少なくないし、企業も長時間労働をする人材に高い報酬を支払っている。賃金を上げつつ労働時間を短くするために、日本政府ができる施策とは?※本稿は、経済学者の八代尚宏『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(日本法令)の一部を抜粋・編集したものです。
欧米の真似をした結果
とても中途半端な制度になっている
慢性的な長時間労働は、雇用者の健康を害するとともに生活の質を低下させる大きな要因となります。これを防ぐための政府介入の手法としては、日本は米国型の残業労働に対して割増賃金を強制する規制が主でしたが、これに加えて2019年の労働基準法改正で、欧州型の労働時間の総量規制も導入しました。
欧米諸国では、専門的な働き方の職種については、こうした労働時間規制の適用除外の仕組みがありますが、これが日本ではほとんど活用されていません。
労働時間規制の有効性は、使用者が雇用者の労働時間をどれだけ正確に把握できるかに依存しています。工場労働のように、上司の監視の下で労働者が一斉に働き、一斉に休む方式では労働時間の長さは明確です。
しかし、現行の労働基準法では、これと同じ仕組みが、個人の裁量性の高い専門的なサービスについても機械的に適用されています。このため、同じ仕事の成果についても、残業を含む長い時間をかけて達成するほど報酬が増えるという非効率な結果となります。
このため一定の職種に関して、実際に働いた労働時間ではなく「みなし労働時間」で働く裁量労働制が設けられています。
しかし、その場合にも始業時間と無関係に、深夜・休日には残業割増賃金が強制的に適用されるなど、欧米のような完全な適用除外にはなっていません。







