不貞発覚から15年間、信子さんが夫や女に対して謝罪や慰謝料、関係解消を求めてこなかったのは、夫が毎月18万円の生活費を欠かさず渡してくれていたからです。娘さんが専門学校を卒業してから毎月15万円、息子さんが大学を卒業してから毎月12万円に減らされたものの、月末には12万円が信子さんの口座に振り込まれていました。

「女に言いたいことは山ほどあります。でも主人の機嫌を損ねるのは困るんです!」

 信子さんは切実な表情で訴えます。もし女が逆恨みをし、このことを夫へ告げ口すれば、夫が怒り出すに決まっています。その結果、無断で生活費を減らしたり、止めたりしてくることが予想されます。信子さんは何より生活費の支払いに悪影響が及ぶことを恐れていたので、今まで毅然とした態度を取ることができませんでした。

生活費の仕送りが12万円から9万円に
夫の不在中に不倫相手の会社へ

 15年間、信子さんは心身ともに全く余裕がなく、それどころではなかったそう。育児の面ではただでさえ手がかかる思春期の子どもたちを「父親不在」で育てており、一方で仕事は複数のアルバイトを掛け持ちし、昼間だけでなく夜中も栄養ドリンクを飲んで働いているのに、年収は200万円足らず。それでも何とかやってこられたのは夫からの生活費があったからです。ほとんど不眠不休で仕事と育児に従事してきて、体力的にも精神的にも限界なので、これ以上稼ぎを増やすのは不可能。夫からの生活費なしでは生計が成り立ちません。

 それなのに夫は今年2月上旬、突然、「12万円から9万円に下げてほしい」と言い出し、信子さんが答えに窮していると、月末に9万円しか振り込まれませんでした。もし夫が生活費を減らしたい理由が「遊ぶ金欲しさ」なら、遊ぶ相手は不倫相手の女なのでしょうから、生活費を減らされた分が女に渡ることを意味します。信子さんはここまできて、ようやく女に対して正面から向き合う決心をしました。

 夫は人事部の執行役員、女は一般事務の契約社員として同じ部署で働いています。女は当然、夫に妻子がいることを知っていたはずです。社内不倫を秘密裏に続けることは難しく、早々に部署内で公然の事実となったのですが、社内で「自分さえ良ければ他はどうなってもいいのか」と疎まれていたよう。だから信子さんが夫の同僚に相談したところ、思春期で多感な娘さん、息子さんから父親を奪い取ったなんてあまりにも酷いですよね」と同情し、上司である夫ではなく、上司の妻である信子さんの味方になってくれました。

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