世界的M&Aで存在感を発揮するソフトバンクグループの孫正義社長や鴻海精密工業のテリー・ゴウ会長など、グローバルリーダーと親交のある経営者として名前の挙がることが多いみずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長・CEOに、国際的人脈の構築術を聞いた。 (聞き手/「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)
──国際的な人脈構築の必要性を意識したきっかけは何でしょうか。
銀行に入ってから国際部門が長かったわけではありません。原体験としてあるのは、日本興業銀行時代に黒澤洋頭取の秘書を務めたこと。黒澤頭取はダボス会議やIMC(インターナショナル・マネタリー・コンファレンス)といった国際会議にもよく出席しており、当時の日本にはあまりいなかった国際派バンカーでした。
国際金融の“ドン”の集まりである「グループ・オブ・サーティー」のメンバーでもあり、黒澤頭取に同行してそうした会合に出席することで、グローバルな人脈をつくる重要性を自然と意識するようになったのかもしれません。
──佐藤社長自身としてはいかにして国際人脈を広げてきたのでしょうか。
国際的なリーダーの方々との人脈が築けた背景の一つとして、徹底した事前勉強があります。
みずほには「産業調査部」があり、さまざまな業界の動向を分析した資料が豊富にあります。それを徹底的に読み込むのです。
少し前になりますが自動車大手のBMWやボルボのトップと初めて会った際、電気自動車や水素の技術、電気自動車の中でもリチウムイオン電池はどこが作っていて、どういう技術でどこまで進んでいるのか、最新の情報を頭の中にたたき込んで面談に臨みました。