Photo:日刊スポーツ/アフロ

 渦中の前川喜平・文科省前事務次官。官僚時代の頻繁な出会い系バーへの出入りを報道されると「貧困女性の調査のため」と記者会見で釈明。週刊文春では、前川氏と「出会い系バーで知り合って3年間で30回くらい会っていた」という女性が取材に応じ、「私は前川さんに救われた」と証言。そして、退官後に「素性を隠して」ボランティア活動をしていたことも報道され、ネットを中心に「前川さんはいい人」という評価が高まり、聖人扱いする声まで聞こえてくる。

 しかし、社会セクターの人間の端くれとして言わせてもらえば、前川氏の貧困女子調査もボランティア活動も、あまりにも不誠実だ。そして、そのことを批判しないNPOも不誠実だと思う。そこで今回は、「前川氏の言動がなぜ不誠実なのか」を社会貢献業界の視点から語ってみたい。

なぜ、対象が
「貧困女性学生」ではないのか

 まず貧困女性の調査に関して。貧困女性の問題は間違いなく、今の日本の大きな社会問題だ。官僚だろうと何だろうと、心ある人なら大きな関心を持つだろう。貧困の問題は基本的には厚労省の管轄だが、文部官僚が関心を抱くことは悪いことではない。むしろ良いことだが、問題はその中身だ。前川氏は文部官僚だった。であれば貧困女性の問題に関しても、貧困家庭の女子中高生の問題とか、貧困女子大生の問題に関心がいくべきだ。とくに最近は、学費のために風俗で働いたりパパ活をしたりする女子大生の実態が、貧困や風像関係のノンフィクションライターなどがレポートしている。たとえば、ダイヤモンド・オンラインでもこのような記事が掲載されている。

普通の女子大生が売春!? 女性の貧困はここまできた