金融とITの融合を表すフィンテック。2017年、この領域をめぐる銀行間の競争が激しさを増しそうだ。
大手銀行の中で新たな動きを見せたのが、みずほフィナンシャルグループ(FG)。6月末をめどに、ベンチャー投資会社WiLとIT系合弁会社を設立し、フィンテックのみならず、農業や小売りといった異業種の分野でも先端IT技術を生かして事業化を目指す。
社長には山田大介・みずほFG常務が就任。「フィンテックの専任なので、退路を断って取り組む」(山田常務)と、鼻息は荒い。
無論、みずほだけではない。今年に入り、他のメガバンクもフィンテック推進の役員ポストを新設。三井住友FGは太田純副社長が、三菱UFJFGは亀澤宏規常務がその職に就いた。2人とも、次期トップ候補として名前が挙がる実力者で、本気度がうかがえる。
減点主義の打破が課題
さらに、銀行を取り巻く状況にも追い風が吹いている。フィンテックを推進する上で、足かせとなっていた銀行法が、2年連続で改正されるのだ。
今年4月に施行された改正法では、銀行や持ち株会社による出資制限が緩和され、フィンテック企業などの買収や出資、新設がしやすくなった。