販売金融機関にだまされるな!
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中野 竹川さんは、『投資信託にだまされるな!』を執筆した時、実際に販売金融機関の窓口に行って、取材されたとか。
竹川 はい。執筆する時、初心者の方にも出来るだけ分かりやすく伝えるためにはどうすれば良いのかということを考えたのですが、そのためには、投資信託を買う時、実際に手にするパンフレットを図解すれば、注意すべき点に気づいてもらえるのではないかと思い、まずはパンフレットを集めてみようと、いろいろな金融機関の窓口に行ってみました。昨年、『新版』を出すにあたっても、改めて足を運びました。
中野 それで、どうでした?
竹川 パンフレットだけ頂いて帰ろうと思っていたのですが、窓口にその旨を伝えると、結局はカウンターの椅子に座らされてしまうケースもありますね。それで、いろいろと説明を受けるのですが、驚いたのが、説明する販売担当者自身も、商品の中身を知らないケースがあるということです。
中野 投資信託については、かねてから販売金融機関の問題が大きいと感じることが多々ありますね。今まで持っていたファンドを解約させて、新しく設定されるファンドに乗り換えさせてしまうということもありますし、長期で保有し、じっくり資産を殖やしていくというよりも、目先、値上がりしそうなファンドを勧めて、短期で値上がりしたら、次のファンドに乗り換えさせるというような営業が、頻繁に行われています。
これでは個人も、投資信託が個別銘柄投資やFXなどと同じように、短期の売買益を狙う商品だと勘違いしてしまうのも、無理はないと思います。
「投資信託にだまされるな!」ではなく、「販売金融機関にだまされるな!」(笑)。
それにしても、販売担当者自身が商品内容を理解していないというのも、考えてみればひどい話ですね。
竹川 特に仕組みの複雑な商品になると、お手上げというケースがありますよ。通貨選択型ファンドなどはまさにその典型例です。私が説明を受けているときに「このファンドの基準価額の変動要因は何ですか?」などと繰り返し質問をしていたら、担当者さんは「どう動くかなんて誰もわからないので、分配金をたくさん出しているものが人気なんです!」などと、半分、逆ギレしながら言っていました(苦笑)。そもそもそのようなことは聞いていませんし、為替が上下したときにはどう動くかなど変動要因を説明できずに、分配金の額を理由にするなんて変な話ですよね。
中野 投資信託という金融商品は、じっくり保有することによって、投資対象の価値の増大に伴って自分の資産も殖やそうというのが本来の在り方だと私は考えています。目先の分配金が多いかどうか、短期的に値上がり益が期待できるかどうか、という視点だけで選ぶべきではありません。今の竹川さんのお話が、まさに投資信託を販売している金融機関が、どういう目的で投資信託を販売しているのかということを、如実に語っていると思います。
竹川 まさに手数料稼ぎですね。
中野 おっしゃる通りです。