ここ数年で、個人投資家のためのコストが安い商品が誕生したり、金融機関の系列ではない独立系の投資信託会社が増えるなど、投資信託業界にも薄日が差してきたように思える、これから、投資信託を買おうと思っている個人はどうしたらよいのか。
投資信託についての本、『投資信託は、この8本から選びなさい。』の著者、セゾン投信社長の中野晴啓さんと、『投資信託にだまされるな![新版]』の著者、フィナンシャル・ジャーナリストの竹川美奈子さんが語ってきた、投資信託についての辛口対談も、今回で最終回。 おふたりに個人投資家へのアドバイスをもらいました。
ここ数年、個人にとってよい投資信託が増えてきた!
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竹川 いろいろ投資信託の問題点について指摘してきましたけど、徐々にではありますが、良い動きも出てきています。
中野 それはどんな?
竹川 たとえばインデックスファンドでは、以前に比べてコストが安く、個人のニーズを上手に吸い上げながら商品開発を行っている投資信託もありますし、証券会社や銀行の系列に属さない、独立系投資信託会社が増えてきたことも、良い傾向のひとつだと思うのです。
しかも、最近はネット経由であれば月々1000円から積み立てで購入でき、さまざまな資産に投資する投資信託もそろっているんです。以前は1万円、もう少し前は10万円からなど購入のハードルが高かったのに、今や1万円で複数のファンドを組み合わせて分散投資できるのですから、個人投資家の利便性は向上していると思いたいですね。
中野 確かにそうですね。米国株式に投資するファンド、日本株に投資するファンド、新興国株に投資するファンドというように、投資対象の異なる複数のファンドを自分で選んで投資するスタイルが低額から実現できますからね。それが難しいという方は1本のファンドで全てを賄うことのできる国際分散型ファンドで運用するという方法もありますし、選択肢が多くなっていることは喜ばしいことです。
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竹川 対談2回目の残念な7パターンで、新規設定の投資信託にばかり注目するのはダメだということを言いましたが、古いファンドなら良いかと言われると、実はそうでもない面もあります。新しくてもいいものはありますし、ちょっと矛盾するようですが、結局のところは、個別の商品性だということです。古いファンドでも、商品性が悪いものは、やはり手を出すべきではないでしょう。
中野 投資信託の存在意義は、一人で出来ないことを、大勢の人たちの力を合わせて実現できることにあると思います。一人で資産に分散投資するのは、手間もかかるし、資金もそれなりに必要です。そもそも、それ以前にそのさまざまな資産について猛勉強しなければなりません。
もちろん、投資の専門家なら仕事だからそれでも良いと思いますが、ほとんどの人は別に仕事を持っていますし、自宅に帰ってきてから今度は資産運用の勉強ということになると、「出来れば勘弁してもらいたい」と思うのではないでしょうか。
そう考えると、運用の細かいことは専門家に任せておき、運用以外の勉強や自分の趣味に時間を割いた方が、はるかに合理的だと思います。さらに少額からできるわけで、そこに投資信託のメリットがあります。