「現代版忠臣蔵」が新宿歌舞伎町で!

  それは労働基準監督署の訪問でした。
「三輪さん、あなたの働きは街の誰もが知っています。でも働きすぎではないですか? 僕たちは、あなたのことを心配してこう申し上げているですよ」

  そう言われて愕然としました。
  クレームがあるのはたいてい深夜。人間対人間でじっくり向き合うのがクレーム対応ですから、気がつくと4、5時間たっていたということもザラでした。
  それまでホテルは大変な時期でした。クレームを受けているときに時計を見て、「もう時間ですので、私はこれで帰ります」とはとても言えませんでした。

  私は思わず、お役人にこう訴えていました。

「私はこのホテルが大好きで、仕事が大好きなのでここにいるんです。世の中には無理やり働かされてつらい思いをしている方が大勢います。どうか、そちらを救ってあげてください。お願いします!」

  最後は涙声になっていました。

  そんなことがあった次の日のことです。
  私の携帯にあるスタッフから連絡が入りました。
「いま、近くのファミレスにいるから来てくれる?」

  あわててその店にかけつけると、5人のスタッフたちが私を待ち構えていました。
  何事があったのか聞いてみると、なんとこの5人は労基署に私を守るためにみずから押しかけていったのだそうです。
  そのなかには、夜勤明けでそのまま労基署に行ってくれたスタッフまでいました。

  彼らはこう訴えたのだそうです。

「支配人は悪くありません! 私たちは好きで働いているんです」
「どうか支配人を、責めないでください。お願いします」
  なかには涙を流して、お役人に訴えた人もいたといいます。