飲食店ではどのように社員間・支店間の
コミュニケーションが取られている?

 社内のコミュニケーションの方法にはいくつかの段階があります。

 もっとも一般的なものは対面でのコミュニケーション。具体的に言えば、「営業前のミーティング」「月例の店長会議」などです。

 店舗ごとの営業前ミーティングや月例の店長会議は、直接顔を突き合わせることになるので確実かつ密度の濃いコミュニケーションは取れますが、一方で場所や時間の制約を受けるデメリットもあります。

 各店の店長が一堂に集まるには、移動のコストがかかりますし、時間もかかります。また、日々の営業があるため、そうそう頻繁にも集まることはできず、月1回がせいぜいというところでしょう。会議の時間も限られているため、一店一店の細かな情報までは共有できないかもしれません。もし何かの事情で欠席となった場合は、翌月の会議までコミュニケーションの機会がなくなってしまいます。

 さらに、本来であれば、店長だけではなく、全従業員が集まって話し合いをする場が持てれば理想だとは思いますが、全従業員分の移動コストともなれば相当な金額がかかるでしょうし、会議のためにいくつかの店舗を臨時休業などにする必要も出てくるかもしれません。当然、売上的には大きなマイナスです。となると、やはり全社会議というのは現実的ではなく、店長など一部の従業員のみの会議や、店舗ごとのミーティングに落ち着くしかなくなってしまうのです。

 テクノロジーの力を使えば、そうした場所や時間の制約から解放されることはできます。

 ITを使ったコミュニケーションとして、もっとも身近なものが「メール」です。本部(オーナー)と店舗との日報のやりとりをメールでしている店も多いのではないでしょうか。

 メールはたしかに手軽で便利です。ただ、会話のような活発な議論や意見交換には向かないツールではあります。また、送信者と受信者間でのコミュニケーションになってしまい、やりとりしている内容の全社的な共有にも不向きです(メールのCC機能を使う手もありますが、全従業員ともなれば煩雑になりますし、送信漏れの心配もあります)。

 LINEFacebookのグループ機能を使って従業員への連絡などを行なっているお店も増えています。これら「SNSサービス」はメールよりもカジュアルで親密なコミュニケーションが取れますし、グループ内での情報共有もできます。リアルタイム性もあります。

 デメリットをあげるとすれば、LINEやFacebookはどちらもコンシューマー向けのサービスなので、仕事として使うには機能的に不十分な点がいくつかあることです。

 たとえば、LINEグループでは、送信された投稿をほかのメンバーが見たとき、「既読2」というように人数は表示されますが、誰が読んで誰が読んでいないかという個人は特定できません。名前をニックネームで登録していたり、アイコンもスナップ写真や似顔絵ならまだしも、ユーザーによってはペットの写真などを設定している人もいるため、初めてグループに参加した人などは「これは誰だっけ?」と本人とSNS上のアカウントが一致しないことも起こりえます。

 さらに、LINEやFacebookのアカウントはプライベートなやりとりに使っているので、「仕事では使いたくない」という人も少なくありません。

 一方で、これまでも仕事に特化したITサービスといえば、「グループウェア」がありました。主な機能としては電子メール、スケジュール管理、ドキュメント共有、勤怠管理、社内SNSなどがあり、仕事をするうえで必要な機能は網羅されていますが、一方で導入コストの問題や、そもそも飲食店の現場で使うには機能的にtoo muchであり、使いこなせない可能性のほうが高いでしょう(私も失敗の経験があります)。

 飲食店を運営するうえで必要十分なコミュニケーション機能を備えており、かつITリテラシーが高くない人でも使いこなせるサービスは何か?

 そう考えたとき、私がぜひおすすめしたいのが「社内SNS」なのです。