わずか三十数年で8兆円企業へと成長したソフトバンク。多くの企業が日本経済の停滞に苦しむなか、圧倒的な拡大を続けることができたのは、「仕組み」を持っていたからだ。
ソフトバンクでは今も、6万人超の社員がこの「仕組み」を使っている。この手法があるからこそ、孫社長の思いもよらない奇策も実現できるのだ。
9年にわたり孫社長の右腕として活躍した元ソフトバンク社長室長・三木雄信氏の6万部突破のベストセラー『孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA』から一部抜粋して紹介する。
「孫社長の右腕」としてビッグプロジェクトを先導
私は新卒で入った三菱地所を3年で辞め、ソフトバンクに入社しました。ソフトバンクでは、孫正義社長お抱えのカバン持ちの秘書、そしてプロジェクトマネージャーとして、いくつもの大型プロジェクトを成功させてきました。たとえば、
●「カーポイント(現・カービュー)」の立ち上げ
●新興企業向け証券市場「ナスダック・ジャパン」の開設
●日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)の買収
●ブロードバンド通信事業「Yahoo!BB」の立ち上げ
こんなことをしてきました。つまり、孫社長のもとで、証券市場を作り、銀行を買収し、通信キャリアを作ったのです。
どれも、普通の会社なら一つの事業として、社運を賭けてチャレンジするレベルのことばかりで、普通は成功までに十数年かかりますが、ソフトバンクではこんな事業ばかりを次々に立ち上げ、そして私はその先頭に立ってプロジェクトを引っ張ってきました。
ひょっとすると、「自分にできそうもない」「すぐれた才能を持った人」と思ったかもしれません。
けれども、こうした「誰もがすごい」と思う仕事は、やり方次第で誰でもできる、と言っても過言ではありません。