「日本経済新聞」(7月4日朝刊)に、「長期の外貨投資 『購買力平価』軸に」(編集委員 田村正之)と題するよい記事が載っていた。

 購買力平価が介在するとわかりづらいが、為替レートは物価の差を調整するように動くので、高金利の通貨のインフレ率が金利に見合って高い場合、高金利通貨の債券や外貨預金への投資が得であるとはいえない。そのことを長期のデータを挙げて説明している。

 特に、過去30年の日本債券(インデックスは野村BPI総合)と外債(シティグループ世界国債インデックス)の金利と通貨変動を総合した投資収益率の累積データのグラフを見ると、両者はほぼ一致しており、教育的効果が高い。過去30年間、ずっと海外の金利のほうが高かったにもかかわらず、為替レートを調整したうえでの投資収益は、両者ほぼ同じだった。

 累積収益率の変動を見ると、日本債券の収益は割合安定しているが、外債の収益率は明らかに変動が大きい。つまり、外債は「リスクが大きいのに、リターンが日本債券と同じ」だったのだ。リスクに対するリターンを考えると、外債投資は割に合わない。

 しかも、シティグループ世界国債インデックスは複数の国の国債に分散投資した状態でのリターンを表しているから、米ドルやユーロ、豪ドル、ブラジルレアルなど特定の通貨の債券に投資した状態では、このグラフに表れているよりももっと大きなリスクを負担することになる公算が大きい。